CASE 相談事例

仕組みづくりを通して営業成績を飛躍させたD社

「会社が目指す本当のゴールは何か?」ここを洗い出すことから始めたコーチング・コンサルティングで、営業成績の飛躍的な向上に貢献しました。

SITUATION ご依頼時の状況

D社は中堅規模の建築会社です。D社からは「頭打ちになっている営業成績を、何とか回復させることはできないだろうか」というご依頼をいただきました。

SOLUTION サポートの流れ

●「人」でものを売るはずが…
D社の社長はかねてから「人でものを売る」として、人材が大切と言っておられる方でした。それ自体は非常に立派なお考えで、尊重すべきものです。ところが会社の体制は、社長がすべてを決定する旧態依然とした体制のままでした。
私が入る前にもD社にはコンサルタントを導入した経験があり、毎月1回のコーチングを中心とする研修が行われていました。そこで私はそのコーチングを実践してみてどうだったのかを中心に聞く、各従業員との面談を開始しました。すべての従業員と1対1で個人面談を行い、それでも足りない場合は二度三度と話に耳を傾けたのです。

面談を始めてすぐ、D社の構成は「営業部」「工事部」「設計部」「資材購買部」の4部署から成っていたのですが、部署間がまったくといっていいほど連携が取れていないことに気づきました。各部長も親会社からの出向組で定期的に人が変わり、上司も他部署に対しては興味もなければ関心もない、という態度でした。上司がそういう状態ですから、従業員もバラバラです。とりわけ営業部以外の部署では、営業ペースでさまざまなことが決まっていくことに対する根強い不満がありました。

また、この会社では深夜まで続く会議が定期的に開催されていました。ところがこの会議は、問題解決に繋がらない話が延々となされるばかりで、会議のための会議となっており、出席者全員が疲弊していました。ところがこの問題をコーチング研修で訴えることもなく、コーチング運営者との信頼関係がまったく構築されていなかったことも分かりました。面談を通して、私はまず社長の意識が変わらなければならない、という結論にいたったのです。

●従業員を守らない会社は続かない
山積する問題を前に、社長は私に向かって「もう辞めたい」と言いました。私は「辞めてください。ただその前に、社長の決定がなくても自分たちだけで決定できる組織を作りましょう」と提案したのです。
最初に取り組んだのは就労規則の改訂です。従業員を守らない会社は続きません。これまで未払いだった残業手当を支払い、就労規則を改訂して深夜の会議を止め、就業時間を厳守するようにしました。
それと同時に社長の後継者となる二代目の育成に取りかかりました。社長の息子は次期社長となるべく入社し、営業部に籍は置いてあったのですが、実際にはまだ会社の業務に携わってはいませんでした。そこで実際に仕事を覚え、契約を取り、同年代の従業員と連携を取れるようにする、という目標を立てました。

●相手から求められる営業を
次にいよいよ当初の依頼であった、営業の回復です。従来のコーチングを受けてきた営業担当者たちとの面談を通して、私は彼らが「何を話すべきかは分かっている。どこでどうクロージングに持ち込むかも理解できている。けれどもその前に話を打ち切られることが続き、精神的にも疲弊している」という状態にあることを知りました。
そのとき分かったのは、営業担当者がお金の話しかできていないということでした。コーチングで学んだ販売メソッドに従って、まず他社との比較をしたうえでこちらからの予算を提案する、相手からはもっと安い価格の提示がある、そこで再度調整してクロージング、という手順を全員が踏襲していたのです。

私は皆さんがコーチングを受けていて「頭で納得するだけ」だったのではないか、と感じました。営業とは、販売と同義語ではありません。相手方のところで仕掛けづくりの会話を始めることから、営業は始まっていきます。そうやって信頼関係を築き、相手の方から「こんな問題があるんだけど、ちょっとなんとかしてもらえないかな」と言ってもらう。それが理想の営業だと私は考えるのです。ですからもちろん大枠の流れはありますが、営業の現場はもっと流動的なもののはずです。

そこでこの仕掛けづくりの会話を皆で学ぶために、ロールプレイングを導入しました。自己紹介とは自己開示であること、率直に自分を伝えることによって、クライアントの信頼を得、同時にクライアントの話に耳を傾けることで信頼関係を深める、そのやり方を、全員がクライアントになったり営業担当者になったりしながら体得していきました。このようにして営業担当者の皆さんには、営業が嫌ではなくなった、楽しくなってきた、と言ってもらえるようになりました。

同時に、営業とは営業担当者だけが行うものでもありません。担当者個人が矢面に立つのではなく、売れる仕組みを会社全体で作っていく。その仕組みの中で、営業担当者も営業を行うのです。設計も営業の提案を汲みとって、営業が提案しやすい、売りやすい設計をする。工事も資材購買も同様です。「売れる仕組みづくり」に焦点を当てて、それぞれの部署を改革していきました。

こうした一連の改革を行うことで、バラバラだった会社が「売れる仕組みづくり」を通して一つにまとまっていきました。同時にその結果として、従業員全体の社長に寄せる信頼度を高めることに成功したのです。次期社長となる二代目も、営業部の中心として働くようになっていました。

●方法は同じでも目指すゴールが違えば結果は変わってくる
D社の場合私が改革の中心に据えた方法は、前任のコンサルタントと同じコーチングでした。しかしコーチングという方法は同じでも、私が目指したゴールは「クライアントから求められる」営業でした。そこに焦点を合わせ、コーチングもロールプレイングも徹底して行ったのです。
「それなら前のコンサルもやって、効果がなかった」と思われる場合もあるかもしれません。けれども、ゴールが違えば結果は違うものになります。

私がいつも重視するのは、「会社が何をゴールにしているのか」ということです。なぜそのゴールなのか、そのゴールが現在の会社にとって最良のものなのか、経営者と徹底的に話し合います。そうして私はゴールに到達したときに見える風景を、できるだけ具体的に話していきます。明確にゴールさえ定めておけば、あとの諸施策はそこから逆算して決めていくことができるのです。

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